当社の事業内容は、「振袖」を中心とした高級呉服や宝飾品の販売となっていますが、レンタルにも力を入れています。1971年に千葉市稲毛区で株式会社マルカワとして設立され、1989年に現在の社名になっています。名前からてっきり京都の会社かと思っていたら、現在も本社は東京なので、地理的な関係はないようです。
呉服事業の将来をどのように考えるかが当社を評価する上では重要なポイントとなってきますが、少子化の流れの中ではなかなか厳しいように思われます。クール・ジャパンの流れに乗って海外に広く展開していくことも考えられますが、当社の戦略に海外展開はないようです。また、レンタル事業についても、京都で最近よく見られるような訪日外国人観光客向けの安物の着物のレンタルではなく、成人式や卒業式などで着る高級なものとなっていますので、今後の成長はあまり期待できないのではないかと思います。
当社の特徴として「友の会」という会員組織があり、2016年9月末で77,188人となっていますが、会員による受注高は前年同期比でやや減少しています。2016年3月期は赤字決算となっていまいましたが、当期は第3四半期の時点で売上高は前期比で▲2.4%となっているものの、広告・販促費の削減により営業利益は前期比で+127.3%と大幅な増益となっています。ただ、実際の売上高の先行指標となる受注高の月次推移を見ると、12月に前年比75.9%と大幅に前年実績を下回ってしまったため、その影響が年度決算で出てくることが予想されます。配当政策は安定配当を掲げていて、1株配当金は42円に固定されています。
当社のビジネスモデルから、前受金や預り金が多く、自己資本比率は必ずしも高くありませんが、有利子負債は少なく、実質無借金で、財務的な懸念はないと思います。そのため今後大きな成長は期待できませんが、しばらくは今の配当水準を維持してくれるものと期待しています。
主な指標(4月5日現在)
株価 952円
時価総額 148億円
予想1株配当金 42円
予想PER 26.37
実績PBR 1.51
配当利回り 4.41%
*データは四季報オンラインより引用