平成30年の確定申告期限が3月15日で終わりました。
給与所得の他に、事業所得や不動産所得があるため、毎年確定申告をしているのですが、今回適用した所得控除や税額控除、損益通算には次のような項目がありました。
医療費控除
医療費控除は、これまで自己負担額が年間10万円を超えたことがなかったので、無縁のものだと思っていましたが、昨年は奥歯の治療をした際に、思いのほか医療費がかかってしまったので、今回初めての適用となりました。
医療費控除の適用を受けるためには、平成28年までは医療費の領収書を添付する必要がありましたが、平成29年以降は、「医療費控除の明細書」を作成して添付するだけで良くなりました。
さらに医療保険者から交付を受けた医療費通知がある場合は、医療費通知を添付することで明細書の記載を省略することができることになっています。
医療費控除の対象となる金額は、次の式で計算した金額(最高200万円)です。
(実際に支払った医療費の合計)-(保険金などで補填される金額)-10万円
医療費の自己負担分に対して生命保険に加入して入院費給付金などを受け取った場合は、受け取った保険金を自己負担分から差し引かなければなりません。
寄附金控除
寄附金控除でもっとも多くの人に馴染みがあるのはふるさと納税だと思います。さらに子供が私立に通っている場合には、学校法人に対する寄附金もあると思います。
寄附金控除の対象となる特定寄附金の範囲については国税庁のホームページなどを参考にしてください。また、一部の寄付金については所得控除に代えて税額控除を選択することもできます。
僕の場合は、ふるさと納税のみでした。
ふるさと納税は、税法上は地方公共団体に対する寄附金という扱いになります。したがって、確定申告では寄附金控除の欄に支払った金額から2千円を控除した金額を記載することになります。
ふるさと納税の詳細については、以前アップした次の記事をご覧ください。
住宅借入金等特別控除
いわゆる住宅ローン控除です。この制度はこれまで様々な変遷を経てきていますので、適用初年度によって控除金額等が変わってくるので注意が必要です。
例えば平成26年1月1日から平成33年(2021年)12月31日までに居住の用に供した場合、1~10年目の年末借入金残高の1%(上限40万円)が所得税から控除されます。これが平成25年ですと上限が20万円になりますし、平成24年だと上限が30万円になります。
一般的には、サラリーマンであれば適用初年度に申告すれば、税務署からその翌年以降の「給与所得者の(特別増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」が送られてきますので、その後はその用紙に必要事項を記入して、年末調整の際に会社に提出すれば、自動的に控除額分が還付されます。そのためほとんど意識することはなくなるかもしれません。
外国税額控除
米国株を中心に外国株式投資をしている方にはすでに広く知られていると思いますが、外国株式の配当金に対しては、まず現地で源泉税が差し引かれ、その残額に対して日本国内で源泉税20.315%が差し引かれます。
外国における源泉税については租税条約等によっても変わってきますが、米国株式の場合は10%となります。
この外国源泉税については、確定申告で外国税額控除の適用を受けることで、還付されることになります。
ここで問題なのは、次の算式による控除限度額が設けられていることです。
×(その年分の国外所得総額)/(その年分の所得総額)
米国株式のみの場合、所得総額に対する所得税額の割合が10%以上でないと全額を控除することができないということになります。
所得税は累進課税ですし、各種控除もありますので、所得税の負担率が10%をいうのは意外とハードルが高いですし、住宅ローン控除の適用を受けるとさらに難しくなります。
ただ、控除対象となる外国所得税の額が控除限度爆を超える場合、復興特別所得税で上記と同じ算式で計算した金額まで追加で控除することはできます。
上場株等に係る譲渡損失と分離課税配当所得等の損益通算
上場株式等に係る譲渡損失と分離課税を選択した場合の配当所得は損益通算することができます。譲渡損失は確定申告することで3年間繰り越すこともできますが、配当所得がある場合は、譲渡損失と損益通算して、すでに差し引かれている配当金に係る源泉税の還付を受けることができます。
証券会社の口座が一つで源泉徴収ありの特定口座を使っていれば、証券会社が自動的に計算を行ってくれますが、僕は源泉徴収なしの特定口座を使っているため、確定申告が必要になります。
昨年末の株価の暴落でかなり損出しをしましたので、年間で1,209,732円の譲渡損失が発生しましたが、個人だけで配当所得が2,473,154円ありましたので、譲渡損失分の源泉税を取り返すことができました。
適正に納税義務を果たすことは大前提ですが、長期的な視点で資産形成をしていくためには、税法上認められている中でできるだけ有利な方法を選択して、節税を図ることも重要だと思います。