たむたむの配当金生活への道

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スターアジアグループによるさくら総合リート投資法人(3473)に対する敵対的買収

2019510日に、スターアジア不動産投資法人3468)とスターアジア投資顧問株式会社が連名で「「スターアジアグループによる「さくら総合リート投資法人」とスターアジア不動産投資法人との合併に向けたご提案」に関するおしらせ」というリリースを出して、史上初とも言えるREIT敵対的買収が幕開けしました。

 

 

僕は両方とも保有していたのですが、今の経済環境ではREITで大きなニュースはないだろうと思い込んでいたので、気が付いたのは517日になってからでした。気付いたきっかけは、さくら総合リートの株価が1週間で大きく上昇していたことです。

 

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スターアジアグループに属するライオンパートナーズ合同会社がすでにさくら総合リートの投資口を3.59%保有していて、このライオンパートナーズがさくら総合リート投資法人の投資主に向けて合併を提案し、さくら総合リートに対して投資主総会の招集を請求しました。

 

投資主総会の目的は、執行役員の入れ替えと資産運用会社の入れ替えで、すべてスターアジアグループに入れ替えることで、さくら総合リートを実質的にスターアジアグループ傘下に置き、そこから合併を進めるということです。

 

スターアジアグループによる合併の提案資料を見ると、さくら総合リートの問題点として、分配金の低下、資産規模の減少、高コスト体質、低ガバナンスを指摘しています。

 

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出典:スターアジア不動産投資法人2019510日付「本日付好評の適時開示に関する補足資料1~スターアジアグループからさくら総合リート投資法人の投資家主の皆様に向けた提案資料~」

 

 

そして、合併によって規模が拡大し、市場評価の改善と、持続的な成長の蓋然性を高めることができるとしています。

 

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出典:同上

 

また、さくら総合リートの問題点として、昨年6月に売却したコンフォモール札幌の売却益を、失敗した新投資口発行の準備費用と相殺したことは「投資主価値の最大化」という基本理念に逆行する行為であると厳しく批判しています。

 

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出典:同上

 

 

 

 

 

 

 

この提案に対して、さくら総合リート側は、511日に「本請求に対する当社の考え方及び対応の方針につきましては、本請求の内容を慎重に検討の上、 決定次第お知らせいたします。」というコメントを発表しましたが、517日になって、「少数投資主による臨時投資主総会の招集請求等に関する本投資法人の意見」というリリースを発表して、スターアジアグループの提案を拒絶しました。

 

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出典:さくら総合リート投資法人2019517日付「少数投資主による臨時投資主総会の招集請求等に関する本投資法人の意見」

 

 

さらに、同日公表された投資主宛の「スターアジアグループからの提案に対する見解」という資料は、なかなか凄いというか、酷いものでした。

 

 

冒頭から「皆様の投資主価値が毀損する脅威にさらされています。」とあり、各ページにはご丁寧に「WARNING」と大きく表示されています。

 

しかし中身をよく読んでみると、買収提案に強い拒否反応を示していることだけはわかりますが、ほとんど中身がなく、上場REITのくせにこの程度の資料しか作れないのかと、投資主としては悲しい気持ちになりました。

 

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出典:さくら総合リート投資法人2019517日付「スターアジアグループからの提案に対する見解」

 

両社の資料を見比べれば、どちらに説得力があるかは明確ではないでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

後から出されたさくら総合リートからの資料には、スターアジアグループが問題点として指摘した事項に対する釈明も反論もまともにありませんでした。

 

さくら総合リートの指摘でまともなのは、スターアジアグループが現時点で合併比率を明示していない点くらいでしょう。

 

資料P53で指摘している利益相反の問題については、運用会社と投資主との間にも起こり得ることであり、詭弁でしかないと思います。むしろ資産運用会社の保身しか感じられません。

 

 

とはいえ、スターアジアグループは全体の3.59%しか保有していない状況で、臨時投資主総会を開催できたとして、過半数の支持が得られるのか、今後の展開に注目していきたいと思います。