高配当株投資の有効性
僕がこれまで数々の失敗を繰り返しながらようやく行き着いた投資手法が高配当株投資です。企業の業績や株価の先行きなんて予想できないが、配当収入だけは比較的読みやすいだろう、という半ば諦め気持ちから生まれた消極的な投資手法ではありますが、長期的な視点で資産を増やしていく上では、これはこれでそれなりに有効なのではないかと思っています。
僕のポートフォリオ全体では、日本株(REITやインフラファンドを含む)の配当利回りが5.60%、米国株の配当利回りが6.11%となっています(いずれも税引前)。分散投資を意識しているのでこれだけの利回りですが、もう少し集中投資をすれば更に配当利回りを高めることは可能です。
もちろん元本が保証されているわけではありませんが、投資金額に対して毎年6%近い配当収入があることはありがたいことです。よく怪しげな投資話による詐欺がニュースになりますが、上場している金融商品だけでもこれだけの配当利回りのポートフォリオを作ることができます。特に米国株のエイリス・キャピタル(ARCC)は最近株価が上がってきましたが、それでも配当利回りは6月7日時点で8.91%です。
高配当株投資に対する批判的な意見として、よく5%の配当をもらっても株価が10%下がったら意味がないというようなことがありますが、これは時間軸の取り方の問題だと思います。株価が1割、2割下がることは良くあることですが、配当収入を再投資に回せば確実に株数は増える訳で、長期的に衰退して破綻していくような企業でない限り、いずれ損益分岐点を超えて大きな利益になっていくことが期待できます。
したがって、銘柄を選択する上では、安定的に配当してくれる銘柄や、一時的に業績が悪化して減配することはあっても長期的には緩やかな成長が期待できる銘柄を選んでいくことになります。
時にはクラフト・ハインツ(KHC)のように減配と株価暴落でダブルパンチを受けることもありますが、だからこそ分散投資の規律を守りながら予想配当収入を最大化するように銘柄を選択していくことで、短期的な値動きに左右されない長期な視点での投資ができます。
分散投資のルール
僕は投資対象を日本株、REIT・インフラファンド、米国株の3つのカテゴリに分類しています。そして、それぞれの投資割合の目安を日本株35%(信用取引を除く)、REIT・インフラファンド30%強、米国株30%強と設定しています。また、米国株は、通常の株式及び株式ETFと、インガムゲイン主体のファンドに分けてそれぞれほぼ50%の割合としています。ちなみにここで言うインカムゲイン主体のファンドとはPFFとARCCを指しています。
保有銘柄数は、日本株が16銘柄、REIT・インフラファンドが12銘柄、米国株が8銘柄です。合計36銘柄に投資していますので、かなり分散されていると思いますし、この中でも最大のシェアを占めているARCCでもポートフォリオ全体の10%未満としています。
高配当株投資でもっとも痛いのが減配ですが、分散投資を行うことで、減配によるダメージをある程度抑えることができます。
長期的な資産形成のために
ポートフォリオの基本形ができてしまえば、資産形成の上では後はいかにこのポートフォリオに投入する資金を捻出していくかが重要になります。ポートフォリオ自体が配当金の再投資で自己増殖してくれますが、追加資金を投入することでそのスピードを加速させることができます。例えば、投資元本が100万円しかないときは、運用だけで10万円を増やすのは難しいですが、毎月1万円ずつ貯めていければ、年間で12%の利回りと同じことになります。そうして配当収入に追加資金を合わせて再投資していけば、資産の増加ペースを上げていくことができます。
今は色々事情があって給料やボーナスからの追加投資はなかなか難しくなってきていますので、信用取引で利益を出して追加投資に回そうとしていますが、なかなか上手くいっていません。元々短期売買では成功しないと思って高配当株投資にシフトしたのに、矛盾していることは自覚しています。
今年は不動産投資で上手く出口を見付けることができたおかげで大きく追加投資ができました。これで予想配当収入を大きく増やすことができましたので、しばらくは配当収入の再投資をしながらじっと我慢をしていくつもりです。
金融庁が「老後資金が2000万円不足する」とした報告書に対して批判的な意見が出ていますが、金融庁や政府を批判したところで、それが現実な訳ですし、年金問題を解消するためには負担を増やすか給付を減らすかしかなく、いずれにしても自分に返ってくる問題です。
若い世代であれば、将来の年金が不確実である分、時間を味方につけて資産形成をしていくのが良いのではないでしょうか。