日経新聞の1面に「企業投資、最高の52兆円」という記事が掲載されていました。記事によれば、日本の上場企業は2018年度に設備投資やM&Aに過去最高の51.6兆円を投じたといいます。
さらに、株式還元として、配当金を11.4兆円支払ったほか、自社株買いも5.4兆円になりました。投資・株式還元を合わせた支出は68.4兆円となり、営業CFを約9兆円上回りました。
出典:日経新聞電子版
これまで企業は儲けた金を貯め込んでいると批判されてきましたが、この記事から、投資や株主還元に積極的に資金を使っているように見えます。
ただ問題なのは、人手不足が叫ばれる中、企業は省力化のためのIT投資を積極的に行っていますが、IT投資によって生産性が向上したことで得られるメリットの多くは、従業員ではなく企業が享受していることです。
実際に、労働分配率は長期的に低下しているというデータから、そのことは裏付けられると思います。
出典:内閣府政策統括官(経済財政分析担当)「近年の労働分配率低下の要因分析」
企業が資金の効率性を高めるために投資をしたり株主還元を行うことは歓迎すべきことですが、IT化による省力化のメリットが一般の従業員にも還元されないと、消費が伸びず、長期的に見て日本経済の停滞につながるのではないかと心配しています。