さくら総合不動産投資法人(3473)を巡るドタバタは、当初スターアジアグループによる敵対的買収の提案に始まり、その後さくらと投資法人みらい(3476)が合併契約を締結して、泥仕合の様相を呈していました。
そして、8月30日に午前10時からスターアジアグループのライオンパートナーズ合同会社が招集したさくらの投資主総会が開催され、午後4時からさくらが招集する投資主総会が開催されるという異例の事態となりました。
8月30日に開催された2つの投資主総会の結果は、次の通りとなりました。
ライオンパートナーズが招集した投資主総会
第1号議案 執行役員村中誠氏解任の件
→ 村中氏が辞任したため廃案
第2号議案 執行役員杉原亨氏選任の件
→ 原案通り承認可決。
ライオンパートナーズの代表社員である杉原亨氏がさくらの執行役員に就任することになりました。
第3号議案 さくら不動産投資顧問株式会社との資産運用委託契約解約の件
→ 原案通り承認可決
第4号議案 スターアジア投資顧問株式会社との資産運用委託契約締結の件
→ 原案通り承認可決
さくらが招集した投資主総会
第1号議案 投資法人みらいとの吸収合併契約の承認の件
→ 定足数が満たされなかったため上程されず
第2号議案 資産運用委託契約の解約の件
→ 第1号議案が定足数を満たさなかったことにより、廃案
第3号議案 規約一部変更の件
→ 定足数が満たされなかったため上程されず
このようにさくら側が全面的に敗北しました。当初はスターアジアの提案に対するさくらの反論があまりにもお粗末で、資産運用会社の自己保身しか感じられませんでしたが、みらいとの合併をまとめ、合併後はさくらの資産運用会社が関与しないという捨て身の反撃に出た時は、正直どうなるかわからないと思っていました。
みらいのスポンサーには三井物産が入っており、信用力という点ではスターアジアより上のようにも感じたからです。
さくらは全て売却していましたが、スターアジアもみらいも保有していますので、僕は正直どちらと合併しても良いとは思っていましたが、投資主総会の委任状はスターアジア側に出しました。
また、さくらのスポンサーのうち、日本管財はガリレオ主導のさくらの動きからは少し距離を置いていたようですね。
REITはスポンサーにとって都合の良い箱のように使われがちで、鑑定価格を参考に取得価格を決めている建前があるとはいえ、かなり高値でスポンサーから物件を仕入れています。しかし、今回の件は、スポンサーがあまりにも投資主の利益をないがしろにすると、思わぬ反撃を食らうという良い事例になったのではないでしょうか。