キヤノン(7751)の2020年12月期第1四半期決算が4月23日に発表されましたので、簡単にまとめてみました。
損益の概要
2020年12月期第1四半期は、売上高は前期比▲9.5%、当社株主に帰属する四半期純利益は前期比▲30.%と減収減益となりました。
出典:当社決算短信
新型コロナウイルスの影響で売上、利益とも大きく落ち込んでおり、いまだに収束の目途が立っておらず、業績予想の合理的な算定が困難であることから、業績予想については取り下げて「未定」としています。
コロナによる移動や経済活動の制限がいつまで続くのかまだわかりませんので、業績予想を未定とするのは当然と言えるでしょう。
出典:当社リリース資料「通期業績予想の修正について」
配当金
配当金については未定としたままで、決算短信や決算説明会資料では全く触れられていません。
出典:当社決算短信
ただ、配当金については前期の第1四半期決算の発表時点では未定としていましたので、今回未定としていること自体は不思議ではありません。
修正前の予想では、予想EPSが150.40円と前期の年間配当金160円を下回っていましたが、コロナの影響でEPSはさらに低下すると考えるのが合理的でしょう。
そうなると、配当金を前期並みの160円とすると大幅なタコ配当となってしまいます。
当社は過去30年以上減配をしてこなかった実績はありますし、僕が知っている限りでは2009年と2016年、2019年はタコ配当でした。
過去に2期連続タコ配当ということはありませんでしたが、利益剰余金の額やキャッシュフローから考えて、配当金は前期実績を維持するのではないかと僕は予想しています。
セグメント別業績
セグメント別業績では、全てのセグメントで減収となったものの、オフィスのみ増益となっています。
出典:当社決算説明会資料
営業利益の増減について、売上高の減少を経費の削減でカバーしていますが、将来の成長のために必要な先行投資費用を削り過ぎていないか、少し心配になります。
出典:当社決算説明会資料
セグメント別業績としては明確に出ていませんが、決算説明会資料のノートには次のような記述があり、少しは希望が持てそうです。
出典:当社決算説明資料ノート
キャッシュフロー及び投資
キャッシュフローは、営業CF、投資CF、財務CDとも前期比プラスになっています。営業CFがプラスなのは良いことですが、投資CFがマイナスなのはやや気になります。
出典:決算補足資料
投資について、研究開発費は実額では前期比▲8.1%ですが、売上高研究開発費率は前期の8.6%から8.7%へ微増しています。一方、設備投資については前期比▲35%と大きく減少しています。
出典:決算補足資料
むすび
新型コロナによって、需要が大きく減退し、製造活動が大きく制限されるため、現時点では第1四半期の実績はまあこんなものかなとしか言いようがありません。また、この先の業績も予想はできませんが、かなり厳しいものになると想像できます。
ただ、新型コロナはいずれ収束するものだと思いますし、過去に何度も復活してきているので、目先の業績は悪くても、配当を維持しつつ、着実に事業ポートフォリオの転換を図りながら成長軌道に乗せていって欲しいと願っています。
【20年チャート】
出典:四季報オンライン
なお、この記事はあくまで僕の個人的な見解を示したものなので、くれぐれも投資判断は自己責任でお願いします。
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