森トラスト・ホテルリート投資法人(3478)の2020年2月期決算が4月23日に発表されました。
森トラスト・ホテルリート投資法人について
当法人は、資産運用会社が森トラスト・アセットマネジメント株式会社で、スポンサー会社が森トラスト株式会社と森トラスト・ホテルズ&リゾーツ株式会社で、一言で言えば森トラストのホテル部門に属する上場REITです。
出典:当法人「第8期(2020年2月期)決算概要」
保有資産は、シャングリ・ラホテル東京、ヒルトン小田原リゾート&スパ、コートヤード・バイ・マリオット東京ステーション、コートヤード・バイ・マリオット新大阪ステーション、ホテルサンルートプラザ新宿の5つのホテルです。
ラグジュアリーからアッパーミドルと比較的グレードの高いホテルでポートフォリオは構成されています。
出典:当法人「第8期(2020年2月期)決算概要」
損益及び分配金の概要
損益の概要ですが、営業収益は前期比+9.6%、当期純利益は前期比+10.6%と増収増益、EPUは3,562円で前期比+343円と大きく増加しました。
出典:当法人決算短信
1口当たり分配金は3,563円で前期比+344と大きく増加しました。これはEPUの増加に連動したものです。
出典:当法人決算短信
増収増益の要因は、昨年9月に取得したヒルトン小田原リゾート&スパの購入資金を借入のみで調達したことで、投資口の希薄化がなかったことや、その他のホテルの変動賃料収入が増えたことによります。
なおホテルの場合、季節変動が大きいため、半年前の前期との比較より、前年同期との比較の方がより実態がわかりますので、次の資料をご覧ください。
出典:当法人「第8期(2020年2月期)決算概要」
2020年8月期の見通し
2020年2月期はまだ新型コロナの影響がほとんどない状況でしたので、この決算の結果は参考になりません。2020年8月期の業績予想については、新型コロナの影響を合理的に見積もることが困難であるため「未定」としています。
出典:当法人「第8期(2020年2月期)決算概要」
ホテルのカテゴリが異なりますが、月次でホテル運営状況を開示しているいちご、インヴィンシブル、JHRは、保有しているホテルの売上高の前年同月比が3月度で▲60&~▲70%で、4月度はおそらく▲80%~▲90%と予想されます。当法人の保有しているホテルは他のホテルREITよりグレードが高めですが、インバウンド需要もレジャー需要もほとんど消失してしまっているため、売上高の状況は他のホテルREITと同等レベルではないかと思われます。
ホテルオペレーターと賃料条件
当法人が保有する5ホテルのオペレーターと賃料条件は次のようになっています。
出典:当社決算短信
5ホテル中4ホテルはオペレーターが森トラストもしくは森トラストのグループ会社ですし、残りの1ホテルは相鉄グループなので、オペレーターの信用力はそんなに心配ないでしょう。
ただ、ヒルトン小田原リゾート&スパは完全変動賃料となっているため、賃料収入の下限が見えず、ホテルサンルートプラザ新宿は逆に完全固定賃料であるため、契約通り支払われるのか不透明感がります。
かなり大雑把な推計ですが、仮に固定賃料が契約通り支払われて変動賃料がゼロとすると、営業収益が1,478.5百万円、そこから2020年2月期の営業収益と当期純利益の差額849百万円を差し引いた629.5百万円が2020年8月期の当期純利益の推計値と言えます。この場合、1口当たり分配金は1,259円となり、2020年2月期の三分の一程度となります。
当期から昨年取得したヒルトン小田原の固定資産税等がかかってきますので、この通りの数字にはならないかもしれませんが、当たらずとも遠からずという感じではないでしょうか。
株価の状況
ホテルREITである以上、新型コロナの影響を大きく受け14,000円台で推移していた株価は、2月26日に14,000円を割り込み、魔の3月19日には63,600円の年初来安値を付けました。
4月27日の終値が87,600円ですので、年初来安値から37.7%上昇しています。予想分配金は開示されていませんので、分配金利回りは算定できませんが、過去1年間の実績分配金に対する利回りは7.74%です。
むすび
当法人は、森トラストグループを背景に持ち、アッパーミドルからラグジュアリーと比較的高いグレードにフォーカスしたホテルREITです。格付は取得していませんが、信用力は相対的に高いでしょう。
ホテル特化のため、新型コロナの終息までは業績及び分配金の先行きは不透明ですが、それまでに破綻するリスクは低いと思われます。
アフターコロナの世界がどうなるかわかりませんが、ある程度の時間をかければホテル需要は回復していくのではないかと僕は考えています。
株価は今後も乱高下を続ける可能性がありますので、保有し続けることにストレスを感じなくもありませんが、回復を信じてじっと我慢をしていきたいと思います。
なお、この記事はあくまで僕の個人的な見解を示したものなので、くれぐれも投資判断は自己責任でお願いします。
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