僕が保有しているJ-REITのポートフォリオ11銘柄と銘柄選択の考え方を紹介します。
僕のJ-REITポートフォリオの概要
僕が現在保有している11銘柄は次の通りです。なお、分類についてはJAPAN-REIT.COMを参考にし、格付を複数の格付機関から取得している場合は、その中の最も高い格付を表示しています。
こうして見ると、僕のポートフォリオはホテル、総合、商業でほとんどを占めていて、事務所や住居に特化した銘柄がないという特徴があります。わかりやすく円グラフにすると次のようになります。
最も大きなシェアを占めているのがホテル主体型、次が総合型、続いて商業施設主体型となっていて、この3種類だけで全体の87%を占めています。REITの主流であるオフィスや住居、最近大きく伸びている物流施設主体型は保有せず、コロナショックで株価の下落率の特に高いホテルや商業施設と、分配金利回りの高い総合型が中心のポートフォリオになっています。
こんなときにホテルや商業に突っ込んで大丈夫なのか?分配金が出ないリスクをどう考えるのか?といった疑問(あるいは突っ込み?)があるかもしれませんが、そうした疑問については後でお答えします。
銘柄選択の考え方
僕がREITの銘柄選択をする際に最も重視するのは分配金利回りです。JAPAN-REIT.COMのREIT一覧のページで分配金利回り順に並べ替えて、基本的にはその上から順に選んでいきます。
なお、今はインヴィンシブル(8963)、ジャパン・ホテル・リート(8985)、森トラスト・ホテルリート(3478)は予想分配金を未定としているため、下の表は前期実績分配金を元に分配金利回りを算出している点に注意する必要があります。
出典:JAPAN-REIT.COM
コロナショックで株価が暴落したため、投資時点と比べて分配金利回りの順位が大きく変わってしまっていますが、現時点での利回り上位15銘柄のうち10銘柄を保有しています。唯一の例外がヘルスケア&メディカル(3455)で、分配金利回りは5.40%です。
もちろん、分配金利回りだけ見ていればよいのかと言えば、そんなことはありません。この利回りランキングはあくまで銘柄選択のスタート地点に過ぎません。そこで、REITの銘柄選択をする上で注意するポイントを次にまとめてみます。
銘柄選択で注意すべきポイント
分配金の原資となる利益の内容
通常は保有不動産を貸して賃料収入を得て、底から保有コストや資金調達コスト、その他の経費を差し引いたものがREITの利益となり、分配金の原資となります。
ただ、REITは同じ資産を保有し続けるだけでなく、運用効率を上げるために資産の入れ替えをすることがありますが、保有資産を売却する際に、売却益が発生する場合があります。
この売却益によって一時的に分配金が増えることがありますが、これはあくまで一時的なものですので、長期投資を前提に分配金利回りを見る場合は、売却益の有無を確認しておいた方が良いでしょう。
REITの投資対象
当然のことではありますが、REITが投資対象としているアセットクラスを理解しておく必要があります。どの投資対象が良いかは好みによると思いますし、その時の流行のようなものもあると思います。
例えば、コロナショック前まではオフィスが強かったのですが、コロナショックによって住宅の安定感と物流施設の成長性が注目されるようになってきました。昨年くらいまではインバウンド需要を期待してホテルを積極的に買っている法人が多かったです。
またアセットクラスだけではなく、投資対象地域や築年数についても理解しておく必要があります。同じオフィスビルでも東京の都心部の新築ビルと地方の築古ビルとでは全く利回りが違います。どちらを好むかは考え方によりますが、利回り重視だとどうしても後者になります。
REITの信用力
REITが長期にわたって存続し安定的な分配金を支払うことができるかどうかを見極めるためにはREITの信用力を把握しておく必要があります。
REITの信用力の示すものとしては、格付機関による格付とスポンサーの信用力があります。格付はREITの投資法人債の発行体としての信用力を表したものですので、分配金の支払い能力を示すものではありませんが、経営の安定性という点では参考になる指標だと思います。日本には主な格付機関としてJCRとR&Iがあり、一般的にはJCRの方が一段階(1ノッチ)甘くなる傾向があります。「AA-」以上で日銀買入の対象となりますので、AA-が付いていれば信用力が高いと言えるでしょう。
また、中には格付を取得していない法人もありますが、格付を補完するものとして、スポンサーの信用力があります。スポンサーは直接REITの信用補完をするわけではなく、あくまで物件の取得や運用のサポートをする位置付けですが、信用力の高いスポンサーが付いていれば、一定の安心感はありますし、銀行も評価してリファイナンスのリスクが低くなることが期待できます。
予想分配金と分配金利回り
11銘柄のうち、予想分配金を未定としているものが3銘柄あります。残りの8銘柄は予想分配金を公表していますが、最新の数字を発表した時点によって、新型コロナの影響がどの程度織り込まれているのか見極める必要があります。
【予想分配金及び分配金利回り】
現在の僕の投資スタンス
コロナショックの影響で保有していたREITは大暴落して、僕のPFは大きな含み損を抱えていますが、3月には日本株を一部処分してREITを大きく買い増しています。
それも総合型REITで大きく値を下げていたみらい(3476)とホテルREITの森トラストホテルリート(3478)、インヴィンシブル(8963)、ジャパン・ホテル・リート(8985)、商業REITの日本リテールファンド(8953)などです。
通常REITはミドルリスクミドルリターンを言われていましたが、このコロナショックでは新興株並みにボラティリティが高く、特に大きく下げたホテル、商業REITを逆張りで買っていきました。特に地獄のような一日だった3月19日には、泣きそうな気持で含み損を処理しつつ、REITを買っています。
3月19日の取引記録です。
僕のPFの中でREITに対する投資スタンスは、インカムゲインよりコロナ終息後の急回復に期待したキャピタルゲイン狙いの逆張りに重きを置いています。
REITで最も悲惨なのはテナントの破綻でも撤退でもなく、リファイナンスできなくなることだと考えています。逆に言えばリファイナンスリスクさえ低ければ、一時的に株価が下がろうが、分配金が減ろうが、十分安い株価で取得していればそんなにリスクは高くないだろうと考えています。
むすび
僕の様な投資方法は万人受けするものではありませんが、一つの考え方としてご覧いただければと思います。緊急事態宣言がいつ解除されるかわかりませんし、解除されたとしても海外との人の交流が回復するまでには相当な時間が掛かることが予想されます。
このところ、ファーストキャビンやWBFなどのホテル事業者の経営破綻が報じられており、この先もネガティブなニュースは出てくるかもしれません。ただ、REITは通常の株式と異なり、不動産という資産の裏付けがあり、そのから生み出される収益は、長期的に見れば企業の業績よりは安定したものだと思います。
この前提条件が通用するのか、それともコロナショックで大きなパラダイムシフトが起こるのかはまだわかりませんが、日本株のPFを無難な銘柄で固めた分、REITではリスクを取りに行っています。
なお、この記事はあくまで僕の個人的な見解を示したものなので、くれぐれも投資判断は自己責任でお願いします。
ホテルREITについてこんな記事も書いています。
最近発表されたホテルREITの運営状況です。
先日発表された森トラスト・ホテルリートの決算です。