日本たばこ産業(2914)の2020年12月期第1四半期決算が本日(4/30)発表されましたので、簡単にまとめてみました。
損益の概要
2020年12月期第1四半期は、売上高は前期比+2.8%、親会社の所有者に帰属する四半期純利期は前期比▲28.5%と増収減益となりました。
出典:当社決算短信
新型コロナウイルスの影響については、「事業継続に支障はなく、顕在化している重大なリスクはない」、「財務影響については限定的な水準となっている」と説明しています。
出典:当社決算短信
こうした状況を踏まえて、通期業績予想については変更ありませんでした。
出典:当社決算短信
当社の重要な経営指標として、為替一定ベースの調整後営業利益というものを開示しています。当社の調整後営業利益とは、営業利益から買収に伴うのれんの償却等を除いたもので、為替一定ベースの調整後営業利益とは、海外たばこ事業の調整後営業利益を前年同期と同じ為替レートで換算したものです。
これによれば、当期は前期と比べて+14.0%と増益となっています。
出典:当社決算短信
配当金
配当金については2月6日に公表された2019年12月期決算の中で、当期の予想年間配当金を前期と同額の154円としていましたが、今回の四半期決算では変更はありませんでした。
出典:当社決算短信
今回の四半期決算では、新型コロナの影響がどの程度か、さらには、配当予想は維持されるか、が注目されていましたが、結果的には配当予想は維持され無難な結果と言えるでしょう。
主要セグメント別業績(国内たばこ、海外たばこ)
国内たばこ事業
国内たばこ事業は売上収益が前期比▲5.7%、調整後営業利益が前期比▲15.3%と減収減益でした。
紙巻タバコ(RMC)は総需要が前期比▲2.2%であるのに対して、当社の販売数量は前期比▲4.2%と減少し、シェアは1.2%ポイント減少して59.7%となっています。
一方、今後成長性が期待されるリスク低減製品(RRP)のシェアは約10%に留まっています。
出典:当社決算説明会資料
国内需要が減少してく中で、主力の紙巻きたばこでシェアが縮小し、今後成長が期待されるRRMではシェアが10%と国内では苦戦しています。
海外たばこ事業
海外たばこ事業は、総販売数量は前期比▲0.6%と若干減少しているものの、主力4ブランド(GFB)の販売数量は前期比+4.8%と増加し、売上高は為替一定ベースで前期比+14.1%であり、大幅な増収となっています。
また、調整後営業利益は単価アップや高単価市場の欧州での数量増により、為替一定ベースで前期比+29.4%と、大幅な増益となっています。
出典:当社決算説明会資料
むすび
第1四半期を見る限りでは、新型コロナの影響は限定的で、財務数値では減益となっているものの、減益の大きな要因は新興国通貨安であり、為替影響を除けば、増益となっている点は評価できると思います。このままいけば、減配リスクもかなり低そうです。
長期的な課題としては、海外たばこ事業が好調なうちに早く医薬事業や加工食品事業を柱となる事業に育ててほしいところですが、これはなかなか難しいようです。
なお、この記事はあくまで僕の個人的な見解を示したものなので、くれぐれも投資判断は自己責任でお願いします。