たむたむの配当金生活への道

草食系投資家のたむたむが、高配当株への投資で夢の配当金生活を目指します。

ナンピン買いは正しくやれば怖くない

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株式投資において(他の商品への投資も同じですが)、一般的にはナンピン買いは良くないこと、やってはいけないことと言われることが多いです。この記事では、ナンピン買いの問題点と正しいナンピン買いのやり方について説明します。なお、ナンピンには買いだけでなく売りもありますが、この記事は株式の長期投資を前提としていますので、すべて買いを前提に書いていきます。

 

そもそもナンピン買いとは

ナンピン買いとは、買ったときより株価が下がっているときに買い増しをして平均取得単価を下げることを言います。損=難を平均することから「難平」(ナンピン)と呼ばれるようになったそうです。

例えば、当初株価100円で100株買った後に、株価が90円になり、100株買い増すと、平均取得単価が95円で保有株数が200株になります。さらに株価が80円になり、100株買い増すと、平均取得単価が90円で保有株数は300株になります。

 

ナンピン買いが良くないと言われる理由

先程の数値例を表にすると次のようになります。この表から明らかなように、ナンピン買いをすると株価が下がっていく過程で確かに平均取得単価は下がっていきますが、含み損は膨らんでいます。

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いくら株価が安くなったからと言っても買い増して過去の含み損が減るわけではありませんし、株数が増えた分さらに株価が下がるとダメージが大きくなります。

こうしたことから、相場の世界には「下手なナンピン素寒貧」という格言があります。下手にナンピン買いをすると一文無しになるという意味ですが、だからそこナンピン買いをしてはいけないとよく言われます。

 

 

 

 

 

絶対にやってはいけないナンピン買い

ナンピン買いには平均取得単価を下げるということかがありますが、この後説明するように戦略的に行うのであれば合理性はありますが、絶対にやってはいけないことは、感情的になって株価が下がると反射的にナンピン買いをしてしまうことです。

ナンピン買いは株価が下落していく中で買い増していくため、どんどん株数が増えて含み損が増えていきます。そうなると途中で弾切れになり、渾身の力を籠めて最後に投資した金額もあっさり溶けてしまい、最後は莫大な含み損を抱えながらギブアップということにもなりかねません。

特に信用取引をしているときは注意が必要です。株価が下落しているときに買いポジションを膨らませると、代用証券の評価額も下がりますので、あっさり追証になり、強制的に損切りさせられることになってしまいます。

人は感情的に支配される弱さがあるため、あらかじめナンピン買いをしない決めることも一つの方法かもしれません。

 

人は必ずしも合理的ではない~プロスペクト理論

プロスペクト理論は、不確実性下における人間の意思決定モデルの一つで、アメリカのダニエル・カーネマンとエイモス・トルベルスキーによって1979年に発表されました。

プロスペクト理論を一言で説明すると、不確実がある状況下で、利益が得られる局面では人は確実性の高い選択肢を好み、損失に被る局面では損失を回避するためにリスクの高い選択肢を好むというものです。

下の図のように、利益による満足は利益が増えてもあまり増えなくなり、損失による失望は損失が増えてもあまり増えなくなります。そのため、損失を被った状態では、更に損失が膨らむリスクを過小評価し、損失を挽回する可能性を過大評価することになります。

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こうした理論からも、株価が下落して損失を被ったときに人は衝動的にナンピン買いをしてしまいがちなことが説明できてしまいます。ギャンブルで負けて際限なく金をつぎ込んで破綻するパターンと本質的には同じですね。

なお、プロスペクト理論については僕の拙い説明ではよく伝わらないと思いますので、こちらの本を参考にしてください。

 

 

 

正しいナンピン買いとは

これまでナンピン買いのマイネスの面ばかり強調してきましたが、株価が下落しているときに買い増すこと自体が悪いことではありません。長期投資の場合に大切なことは良い銘柄を安く買うことですので、株価が下落して安く買えるのであればそれはそれで良いことだと言えます。

つまり、割安な株がさらに安くなったから買い増すというのが正しいナンピン買いだと言えます。ただし、その際に注意すべき点が2つあります。

ひとつは分散投資を意識して、取得の上限額を決めておくことです。株式投資において絶対ということはありません。割安だと思って買った銘柄が、その後業績不振に陥って回復の見込みが立たないとか、粉飾決算が発覚したとか、不測の事態が起こることはあり得ます。ナンピン買いをするということはそれなりの投資をすることになりますので、不測の事態が起こっても致命的なダメージを受けないよう、取得の上限額を決めておく必要があります。

もうひとつは時間を分散させることです。株価の底はどこなのかを予測することは困難ですので、あまり買い急いでしまうと平均取得単価を十分下げることができないまま長期間含み損を抱えてしまうことになります。もちろん、投資した時の前提条件が変わらない限り、長期投資を前提に考えれば、含み損を抱えていたとしても大した問題ではありませんが、できるならゆっくり買い増していき、途中で株価が上がってしまったらそれはそれでラッキーだと思って買い増しを諦めるくらいの気持ちのゆとりが欲しいところです。

ただし、投資の前提条件が崩れてしまった場合には、その銘柄に執着せず、失敗を認めて損切りする必要があります。このあたりの判断については、こちらの記事をご覧ください。

 

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むすび

一口に「ナンピン買い」と言っても、損失を取り戻そうとして感情的になってやる無計画なナンピン買いは絶対やるべきではありませんが、長期投資を前提とすれば銘柄と時間を分散させた上で計画的に行うナンピン買いは効果的だと思います。

物事には様々な側面がありますので、一律に「○○は正しい」とか「●●は間違っている」という情報は不正確なことが多いので、その前提条件をしっかり確認し理解する必要があります。「ナンピン買い」にも「良いナンピン買い」と「悪いナンピン買い」があることを理解していただければと思います。

 

なお、この記事はあくまで僕の個人的な見解を示したものなので、投資判断はくれぐれも自己責任でお願いします。