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インヴィンシブル投資法人(8963)の2020年6月期分配金予想の下方修正

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本日(5/11)、これまで未定としていたインヴィンシブル投資法人8963)の20206月期の運用状況及び分配金の予想の下方修正が発表されました。

 

運用状況及び分配金の予想

運用状況の予想は、営業収益が8,923百万円、当期純利益186百万円となりました。2020424日に発表されたリリースでは未定としていましたので、前回の予想となると220日の201912月期の決算発表時に出された予想で、その時は営業収益が18,510百万円、当期純利益11,258百万円でしたので、この前々回予想と比べて営業収益が▲51.8%当期純利益が▲98.3%と大幅な下方修正となりました。

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出典:当社リリース「2020 年 6 月期(第 3 4 期) の運用状況及び分配金の予想の修正 に関するお知らせ」

 

この結果、1口当たり当期純利益30円で、1口当たり分配金も同額の30円としています。何とかギリギリ黒字にしたという数字ですが、1口当たり30円とはまるで普通株式のようです。

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出典:当社リリース「2020 年 6 月期(第 3 4 期) の運用状況及び分配金の予想の修正 に関するお知らせ」

 

新型コロナウイルスの影響で、世界中で渡航制限が行われたり、緊急事態宣言や外出自粛要請で、正直この時期にホテルに宿泊する人がいること自体が不思議なくらいでしたので厳しいですが当然の数字だろうとは思います。

 

 

 

 

 

下方修正の背景

下方修正の背景には新型コロナウイルスの影響があることは確かですが、より直接的には、主要テナント、すなわちマイステイズとの賃貸借契約の変更によるものと発表しています。その内容については後で解説しますが、まずはホテルの運営状況として、国内ホテルポートフォリオ75物件の稼働率の推移を見てみましょう。

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出典:当社リリース「2020 年 6 月期(第 3 4 期) の運用状況及び分配金の予想の修正 に関するお知らせ」

稼働率が、3月は43.8%だったのに対して4月以降は20%台を予想しています。稼働率が下がれば当然客室単価も下がりますので、売上高の減少は稼働率の低下以上のインパクトがあると思われます。

さらに、ケイマンホテル2物件については、323日から531日まで国際空港が閉鎖されており、現時点ではホテルの営業再開が71日を目途としています。

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出典:当社リリース「2020 年 6 月期(第 3 4 期) の運用状況及び分配金の予想の修正 に関するお知らせ」

現在国内外で15物件のホテルが営業を休止しています。このうち国内の7物件は515日、6物件は531日に休館が終了し、ケイマンの2物件は630日に休館が終了する予定としています。

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出典:当社リリース「2020 年 6 月期(第 3 4 期) の運用状況及び分配金の予想の修正 に関するお知らせ」

 

 

 

 

 

マイステイズとの賃貸借契約の変更

運用状況や分配金の予想の下方修正と同時に、「主要テナントとの定期建物賃貸借兼管理業務委託契約変更覚書締結に関するお知らせ」が発表され、マイステイズに対する固定賃料の免除や当法人からの費用負担が盛り込まれています。

当法人の発表によれば覚書の内容は、

固定賃料の免除と変動賃料の計算方法の変更(変動賃料=GOPとする)

マイステイズが負担していた物件管理費の負担

当法人がマイステイズに支払っていた管理業務受託手数料の引き上げ

が骨子となっています。

これを詳しく見てみると、賃料については31日から630日までの期間について固定賃料を全額免除し、変動賃料を21日から630日までの期間、毎月計算して0円以上であれば変動賃料の全額となり、マイナスであれば0円になるということになります。これは、マイナスにはならないとしているものの、ホテルのGOPがそのまま当法人に帰属することになります。

さらに、マイステイズの破綻を回避するため対象物件に係る物件費を当法人が負担することとし、さらにはマイステイズに支払う管理業務受託手数料を、ホテル営業を継続するために必要な金額として別途合意する金額としています。

つまり、ホテル営業による利益が当法人に帰属する一方でホテルの物件管理費を当法人で負担し、さらにホテル営業での赤字を当法人が補填することを意味するものと考えられます。

 

 

 

 

 

本日のリリースの問題点

ホテルの業績悪化で変動賃料は当然期待していませんでしたし、固定賃料も一部免除や繰り延べはあるだろうとは思っていました。したがって、分配金が30円になったこと自体は残念ではありますが、やむを得ないと思います。また、127億円の利益剰余金を取り崩してある程度分配してくれることを期待していた面はありましたが、コロナの影響がどこまで続くか現時点ではわからない以上、将来に備えるということも合理性はあると思います。

しかし、REITが実質的にホテル運営のリスクを全面的に負うのはおかしいのではないかと感じてしまいます。この変更覚書締結の理由として、マイステイズに十分な資産がなく、固低賃料を強制的に回収することもできず、破綻すれば当面対象物件からの賃料収入が期待できなくなること、さらにはマイステイズの株主であるフォートレスはファンドであり、マイステイズに13億円の追加出資を行うとしているものの、それ以上の追加出資はできないとしており、それだけではホテルの運営に必要な資金が不足するため当法人が負担せざるを得ないとしています。

私が当法人を積極的に買い増した理由は、主要テナントであるマイステイズの株主がフォートレスであり、ソフトバンクGの傘下にあることから、信用力は他のホテルオペレーターと比べて相対的に高いと考えていた点にあります。つまり、マイステイズがホテルの運営が苦しくなれば、それを支えるのは当法人ではなくフォートレスだろうと考えていました。

しかし、本日のリリースの中で、フォートレスは13億円の追加出資以上の負担はできないと明確に書かれていますので、マイステイズの事業リスクはそのまま当法人が負うことになります。

コロナの影響で暴落したホテルREITに投資するメリットは、コロナ終息まで持ちこたえられれば株価が正常化し、大きな利益が得られると期待できる点にあると思います。あるいは一時的に分配金収入がなかったとしても、長期的には高い配当利回りで運用できることに期待できる点にあります。しかし、REITがホテル営業のリスクをまともに負うことは想定されなかったことです。

 

 

 

 

 

むすび

分配金の減額はやむを得ないと思いますが、期間限定とはいえ、マイステイズとの賃貸借契約の変更内容が、ホテルREITがまるでホテル会社になったようなものでしたので、かなり裏切られた気持ちがあります。

見通しが甘かったと言われればそれまでですが、マイステイズ、フォートレス、当法人の三者は身内みたいなものですので、REITにリスクを押し付けているのではないかと勘繰ってしまいます。

とりあえずは、少し残高を減らして様子を見て、6月以降に変更覚書が延長されるのか、正常化するのかを見極めてからまた次の行動を考えたいと思います。

 

なお、この記事はあくまで僕の個人的な見解を示したものなので、投資判断はくれぐれも自己責任でお願いします。