エイリス・キャピタル(ARCC)の2020年第3四半期決算が10月27日に発表されました。
損益の概要
結果は、コアEPSが0.39ドルで前年同期の0.48ドルから大きく減少しましたが、GAAPベースのEPSは1.04ドルで前年同期の0.41ドルから大きく増加しました。
当社は資産として保有しているローンやエクイティなどを公正価値で評価しており、当四半期はその未実現利益(Net unrealized gains)が大きかったためにこのような差が出ています。
出典:当社プレスリリース
また、コアEPSは前年同期比では大きく減少したものの、コンセンサス予想は0.38ドルだったので、コンセンサス予想を上回って着地しました。
出典:Yahoo! finance
損益の内訳
コンセンサス予想を上回ったのは良かったですが、気になるのはやはり純投資利益(Net investment income)が減少している点です。その内訳を見ると、投資収益が前年同期から35万ドル減少している一方で、費用が12百万ドル増加しています。収益の主な減少要因はCapital structuring service feesです。第2四半期から大きく減少していて、コロナによって新規案件の組成が減少したことが要因ではないかと思われます。
出典:当社プレゼンテーション資料
配当金
また、決算発表と同時に1株当たり配当金は当四半期も0.40ドルと発表されました。10月27日の株価は14.215ドルでしたので、配当利回りは11.3%です。配当金は2019年のAdditional Dividendを除き、緩やかな増加傾向にあります。
出典:当社プレゼンテーション資料
むすび
当社はクレジット市場が混乱すると株価が暴落するという癖があり、またクレジット市場のスプレッドが拡大すると、多額の評価損を計上するため、GAAPベースの損益が極端に悪化するという性質を持っています。今年の第2四半期はコロナ禍でまさにそのような状況でしたが、これまで配当金は安定して推移しています。
さらに、低い水準ながらもコンセンサス予想を上回ってきていますので、個人的には、高利回りのインカム商品として、下手な高配当株よりも安心して保有できると考えています。本格的な株価の回復にはまだ時間がかかると思いますが、高利回りの配当を受け取り、それを再投資しながら気長に待ちたいと思います。
なお、この記事はあくまで私の個人的な見解を示したものなので、投資判断はくれぐれも自己責任でお願いします。