J-REITに投資していると、時々利益超過分配金というものを目にします。通常、分配金は利益を源泉としていますが、この利益超過分配金とは、文字通り利益を超えて分配されるもので、実質的には資本の払い戻しになります。
J-REITには、配当可能な利益の90%超を分配するなど一定の要件を満たした場合、法人税がかからない特典があります。したがって、多くのJ-REITは利益のほとんどを分配していると思います。
一方、利益の計算上、費用として控除される減価償却費は、キャッシュアウトがない費用であるため、手元キャッシュの残高は、当期純利益+減価償却費だけ増えることになります。
そもそも減価償却費は、固定資産は長期間にわたって使用していくうちに、価値が損耗していくという考え方から、取得価額を耐用年数にわたって費用として計上していくものです。
固定資産の価値を維持していくためには、メンテナンスや修理を行ったり、大規模改修を行ったりする必要がありますが、将来の修繕のための内部留保や資本的支出の額が減価償却費を下回る場合があります。
もちろん、内部留保や資本的支出が減価償却費を下回れば必ず利益を超過して分配するという訳ではなく、あくまで財務状態の健全性を確保できるという前提の下に行われます。
利益超過分配方針について、僕が保有していたマリモ地方創生リート(3470)では次の検証①、②を経て決定されると説明しています。
この利益超過分配金は、税務上は資本の払い戻しとして取り扱われるため、配当金と異なり源泉税もかかりません。しかし、みなし譲渡損益が発生し、これを計算しようとすると少し手間がかかってしまいます。
マリモ地方創生リートの2018年12月期の分配金では、利益超過分配金の純資産減少割合は0.005となっています。
そのため、取得価額は次のように修正されます。
1口当たりの新しい取得価額
=1口当たりの従前の取得価額×(1-純資産減少割合(0.005))
一方、みなし譲渡損益を次のように計算されます。
みなし譲渡損益
=1口当たり利益超過分配金-1口当たりの従前の取得価額×純資産減少割合(0.005)
特定口座であれば、ほとんど意識する必要はありませんが、僕は法人で保有していたので、手計算が必要になります。ただ、みなし譲渡損益はわずかな金額ですので、無視してもほとんど問題はないかと思っていますが。