本日新規で取得したOneリート投資法人について簡単に紹介します。
当法人の概要
当法人について一言で表現すると、みずほ系のオフィス特化REITとなります。元々はシンプレクスが立ち上げたSIA不動産投資法人でしたが、2015年12月にみずほ信託がスポンサーとなり、2017年6月に現在の名称に変更しています。
当法人の基本情報は次の通りです。
【基本情報】
名称:Oneリート投資法人
資産運用会社:みずほリートマネジメント株式会社
決算:2月/8月
発行済投資口数:239,908口
時価総額(6/5):66,167百万円
格付:A(安定的)(JCR)
当法人の仕組み図を見ると明らかなように、当法人の周りはオールみずほで固められています。
【仕組み図】
出典:当法人ウェブサイト
ポートフォリオ
ポートフォリオ構築方針
用途別投資割合
当法人は、ミドルサイズ(延床面積1,000坪~10,000坪程度)のオフィスビルを重点投資対象とし、オフィス70%以上、商業施設30%以下とすることを基本方針としています。
出典:当法人ウェブサイト
エリア別投資割合
当法人の投資対象エリアは、東京経済圏を70%以上、地方政令都市を30%としており、地域分散を配慮しつつも東京中心のポートフォリオを目指しています。
出典:当法人ウェブサイト
ポートフォリオ実績
2020年2月期末時点のポートフォリオ実績は次のようになっています。
用途別では、約96%がオフィスビルとなっています。
出典:当法人決算説明資料
地域別では東京経済圏が65%と、方針と比べて東京経済圏の割合が低くなっていますが、決算説明資料では、別途重点対象エリアを地域横断的設定しています。これを見ると、約3分の1を東京都心部が占めており、この配当利回りのレベルとしてはまずまずではないかと思います。
出典:当法人決算説明資料
決算及び分配金の推移
これまで2018年2月期以降、分配金はいずれの期も当初の予想を上回って着地しています。もちろん、その間に物件の売却益もありましたので、当然と言えば当然ですが、コロナ禍の影響を踏まえても、2020年8月期の予想分配金は7,750円、売却益の効果が消えた2021年2月期の予想分配金が7,140円というのは心強いです。現在のポートフォリオにおける巡航水準の分配金は7,100円程度だと考えられますので、本日(6/8)の株価278,600円に対して年率5%以上の分配金が安定的に期待できそうです。
【決算・業績予想】
出典:当法人決算説明資料
【分配金推移】
出典:当法人決算説明資料
新型コロナウイルスの影響
当法人のテナントも新型コロナウイルスの影響とは無縁ではありませんが、決算説明資料が開示された4月16日時点では、コロナの影響は限定的なようです。オフィス系テナントについては、4月6日までの間、減額要請又は解約通知が5件(うちコロナの影響は3件)に留まり、増額改定が8件もあります。
出典:当法人決算説明資料
さらに、当法人は市場相場より低い賃料のテナントとは増額交渉を行ってきており、賃料改定時にステップアップ賃料を積極的に活用してきたとしています。このステップアップ賃料によって、将来のアップサイドが積み上がってきていることが、将来の賃料減額リスクをカバーすることになります。
出典:当法人決算説明資料
また商業系テナントについても一部賃料減額要請はあるようですが、一定の賃料収入の減少は業績予想に織り込み済としています。
株価の状況
他のREITと同様に、当法人も3月19日に最安値165,900円を付けてからは、株価が右肩上がりに回復してきています。本日(6/8)の終値が278,600円、予想分配金は2020年8月期が7,750円、2021年2月期が7,140円なので、分配金利回りは5.34%となります。ただ、2020年8月期は物件売却益が計上されて分配金が底上げされていますので、その点は注意が必要です。
むすび
これまでポートフォリオの中にオフィス特化REITがありませんでしたので、少し利回りが低いもののが、コロナによる下方修正リスクが低そうでしたので、当法人を新たに取得しました。
一方、ホテル特化REITのインヴィンシブル投資法人(8963)は残りを本日全て売却しました。長期的にはいずれ元の水準に戻るとは思いますが、ホテルの回復は、年内はRevPARベースで通常の50%~60%、来年でもせいぜい70%~80%程度だと思っていますので、ちょっと期待が先行しているのではないかと感じています。
なお、この記事はあくまで僕の個人的な見解を示したものなので、投資判断はくれぐれも自己責任でお願いします。