本日は高配当株ではなく、成長株の四半期決算の紹介です。SHIFT(3697)の2020年8月期第3四半期決算が本日(7/9)発表されました。
損益の概要
第3四半期の損益は、売上高が前年比+51.8%、親会社株主に帰属する四半期純利益は前期比+109.1%と大幅な増収増益となりました。
出典:当社決算短信
この数字だけを見ると、成長株として十分な結果のように思えますが、第2四半期は売上高が前期比+55.1%、親会社株主に帰属する四半期純利益が前期比+188.1%でしたので、第3四半期は失速したと言えます。
第3四半期のみの数字は、次のようになっています。売上高はそれなりに伸びていますが、販管費が増えたため、営業利益の伸びが鈍化しています。
出典:当社決算説明会資料
ただ、第3四半期の業績について、当社は次のように説明しており、コロナの影響が一部で見られるものの、むしろM&Aに伴うのれんの償却で販管費が増加した影響が大きかったようです。M&Aによる成長が続くとのれんの償却で営業利益が圧迫されるのはやむを得ないことだと思います。
出典:当社決算説明会資料
当期業績予想と進捗率
当期の業績予想は直近に公表されたものから変更はありません。売上高は前年比+43.4%、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比+49.4%を予想しています。
出典:当社決算短信
通期予想に対する進捗率は、売上高が74%、親会社株主に帰属する四半期純利益は70%となっています。右肩上がりで急成長している企業はどうしても進捗率は低めに出てしまいます。
出典:当社決算説明会資料
株価の状況
新型コロナによって株価は一時6,000円を割り込んでいましたが、その後は回復し、6月22日に上場来高値の11,460円を付け、本日の終値も11,220円と高い水準を保っています。
本日の終値に対する予想PERは121.26倍です。PERが100倍を超える株を買ったことは、減益でEPSが大幅に低下した場合を除いては、ほとんど記憶にありません。
今の株価が割高か割安かは当社の成長性をどう考えるかですが、まず当社は2025年度に売上高1,000億円という目標を掲げています。
出典:当社決算説明会資料
さらに長期的なビジョンとして、次のようなロードマップを掲げています。
出典:当社決算説明会資料
売上高が5,000億円、1兆円というのは今の段階では夢物語かもしれませんが、そんなに遠くない将来に売上高1,000億円を達成することは十分に想定できるでしょう。
売上高1,000億円で純利益率を7%と考えると、純利益が70億円、予想EPSは447円となります。この場合、本日の終値に対するPERは25.1倍となりますので、まあ妥当な水準と言えます。つまり、現在の株価は売上高1,000億円までを織り込んでおり、将来的にはさらなる成長が期待できると考えれば、現在の株価も正当化できるでしょう。
むすび
当社の株価には長期にわたって高い成長率を維持する前提がすでに織り込まれていると館得られます。そのため、成長シナリオが崩れたら終わりで、株価は悲惨なことになりますので、業績の推移については注意深く見ていく必要があります。
ただこうした企業は、自律的な成長だけでなく、M&A等で一気に拡大する可能性もありますし、それで事業構造が大きく転換して成長していく可能性もありますので、株価は財務分析に基づくバリュエーションで考えるよりも、経営者に期待し続けることができるかどうかにかかってくると思います。私は丹下社長に期待したいと考えています。
なお、この記事はあくまで僕の個人的な見解を示したものなので、投資判断はくれぐれも自己責任でお願いします。