たむたむの配当金生活への道

草食系投資家のたむたむが、高配当株への投資で夢の配当金生活を目指します。

高所得サラリーマンに対する静かな増税

年収1000万円は金持ちか

 

今週号の日経ビジネスでは「哀しき年収1000万円世帯」という、何とも悲哀に満ちた特集が組まれていました。

 

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一般的なイメージでは、年収1000万円というと、成功者でありエリート階級ということになるのかもしれませんが、その実態はイメージとは程遠いものだと思います。

 

親の援助がなければ、都内に住宅ローンを組んでマイホームを持ち、子供を私立に通わせたり、塾や習い事に行かせたら生活に余裕はなく、ほとんど手元にお金が残らないのではないでしょうか。

 

それ自体を贅沢だと言ってしまえばそれまでですが、小さい頃から頑張って勉強していい学校に入って、一流企業に入社して、順調に昇進した「勝ち組」が、30代の後半から40代で年収1000万円を達成した結果がこれでは、あまりにも日本には夢がないと言えます。

 

 

 

 

政府は取りやすいところから税金を取る

 

それに追い打ちをかけるように、高所得者に対する課税強化がわかりにくいかたちでどんどん進んでいます。消費税を増税するとなれば大騒ぎになりますが、高所得者に対する課税を強化しても批判する人はほとんどいませんので、政府としてもとしてもやりやすいところなのでしょう。

 

それも税率を上げると増税ということがわかりやすいですが、所得控除を削減して、同じ収入でも課税所得を増やすことで間接的に増税するという、何ともセコイやり方です。

 

国は批判の出にくいところから税収を増やそうとしているのでしょうが、日本経済を第一線で支えている高所得サラリーマン層に対して安易に課税を強化することは、長期的に見れば日本経済にとってマイナスなのではないかと思います。

 

 

 

段階的に削減された給与所得控除

 

サラリーマンの給与収入から課税所得を計算する場合、「給与所得控除」を差引くことになっています。つまり給与所得控除の金額が大きければ、その分課税所得が少なくなりますので、所得税が減ることになります。

 

給与所得控除は計算方法が給与収入に応じて段階的に決められていますが、平成24年までは、給与収入が1000万円超の場合、5%+170万円とされており、金額に上限はありませんでした。

 

それが平成25年には、給与収入1500万円超で控除の上限額が245万円と設定され、その後段階的に上限額が引き下げられてきました。平成29年からは給与収入1000万円超で控除の上限額が220万円となっています。

 

例えば、給与収入が1500万円の人であれば、平成25年と平成30年で比較すると、給与所得控除が25万円減ったことになります。この年収ですと所得税率が33%のゾーンに当たると思いますので、復興特別所得税と住民税を合わせると、約11万円も税金が増えることになります。

 

 

 

いつのまにかなくなった子供の扶養控除と配偶者控除

 

以前は子供がいれば、扶養控除として一人当たり38万円を所得から控除することができました。ところが、16歳未満の子供については平成23年に子ども手当(現児童手当)が導入されたことで廃止されました。(ただし、住民税の計算では控除の対象になります。)

 

その子ども手当ですが、いつの間にか児童手当と名称が変わり、所得制限が設けられました。その所得制限ですが、東京都では、子供1人の場合、660万円、2人の場合、698万円です。

 

所得制限額以上の所得があっても中学生まで一人月5000円はもらえるようですが、もともと子ども手当がもらえるから子供について扶養控除がなくなったはずでしたが、所得制限ができたために実質的な増税となっています。

 

配偶者控除については、平成30年から、納税者本人の合計所得金額が1000万円を超える場合は、受けられなくなりました。専業主婦世帯には大きな打撃です。

 

しかも、所得が900万円以下であれば従来通り控除額は38万円ですが、900万円超950万円以下で控除額が26万円、950万円超1000万円以下で控除額は13万円と、小刻みに削られています。

 

 

 

 

さらに追い打ちをかける2018税制改正

 

2018年の税制改正2020年から適用される項目で、さらに細かい増税が行われています。財務省の資料ではやたらと「適正化」という言葉が使われますが、これは納税者にとって不利であることをもっともらしい言葉でごまかしているだけだと思います。

 

1.給与所得控除から基礎控除の振替

給与控除を10万円減らす分、控除を10万円増やすというもので、所得の種類による不公平感を緩和する目的のようですが、この後出てくるように、基礎控除の増額に落とし穴があります。

 

2.給与所得控除の適正化(=削減)

またまた給与所得控除が削減されることになります。給与収入が850万円超で控除の上限が195万円に引き下げられます。

 

ただ、23歳未満の扶養家族のいる子育て世代等については、負担の増減はないとしています。

 

3.基礎控除の適正化(=削減)

所得税では所得金額にかかわらず、38万円を所得から控除していました。これを基礎控除といいます。

 

給与所得控除を10万円減らして基礎控除10万円増やすところまではいいのですが、合計所得金額が2400万円を超えたところから基礎控除が減額され、2500万円を超えるとゼロになってしまうことになりました。

 

まあ、合計所得金額が2400万円と言えばかなりの高額所得者になりますので、もはや関係ないと言えば関係ありませんが、将来的にはこの基準が引き下げられる可能性がありますので、注意が必要です。

 

 

 

高所得サラリーマンにできることは?

 

一定以上の所得のあるサラリーマンに対する課税強化の傾向は変わることはないと思われますし、税制がそうなっている以上、逃れることはできません。そこで、こうしたデメリットを少しでも減らすためには、税制を有利に使っていくしかありません。例えば、住宅ローン控除やふるさと納税などです。

 

特にふるさと納税は、2000円を負担すれば、実質無償で寄附金額の3割相当の返戻品がもらえますし、所得に応じて限度額が増えます。課税強化に不満を持たれている方は、積極的に活用すべきだと思います。

 

 

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