数少ない1月決算会社の中でも高配当株として有名なのが積水ハウス(1928)です。また、一昨年に明らかになった地面師による詐欺被害で、昨年犯行グループが逮捕されたことで、再度話題にもなりました。
そんな当社は、戸建や賃貸住宅などを手掛ける大手ハウスメーカーです。1960年3月に積水化学のハウス事業部としてスタートし、同年8月に積水ハウス産業株式会社が設立されて、これが当社の始まりとなっています。そして、創立10周年となる1970年には上場を果たしています。
当社の事業は、戸建・賃貸住宅の建築を手掛ける請負型ビジネス、リフォームや賃貸住宅の一括借上、管理を手掛けるストック型ビジネス、住宅・マンションの分譲や都市の再開発を手掛ける開発型ビジネス、海外展開を行う海外ビジネスの4つのセグメントから構成されています。
業績推移
多少の凸凹はありますが、過去5年間の業績推移は概ね右肩上がりです。ただ、国内における人口減のなかで、長期的にどのような成長戦略を描いていけるのか、さらには景気拡大が終了し、減退に転じたとき、業績がどのようになっていくのかが気になるところです。
注:2019年1月の数字は会社予想
6カ月チャート
2019年1月期については、第2四半期決算発表時に、増収増益予想から増収減益予想へと通期予想を下方修正しています。経営環境の悪化を反映してか、株価は下降トレンドを続けています。12月末の暴落を持って底打ちとなるか、今後の株価の回復状況が注目されます。
中期経営計画
2019年を最終年度とする第4次中期経営計画の進捗状況は、2018年度は通期予想が売上高21,660億円、営業利益1850億円と当初の計画を下振れたため、2019年度の計画達成は難しいように思われます。
出典:第4次中期経営計画
事業戦略については、四つの事業領域のそれぞれについて記載されているものの、大企業らしい総花的なもので、いまひとつ何をしたいのかが伝わってきません。既存ビジネスである請負型とストック型の採算を向上させながら、開発型と国際を成長させていくと考えればいいのでしょう。
出典:第4次中期経営計画
主な指標
1月7日時点の主な指標は次のとおりです。
株価 1,635.5円
時価総額 11,420億円
年間配当金 79円
PER 8.98倍
PBR 0.96倍
配当利回り 4.78%
コメント
当社は大型割安の高配当株で、1月決算ということで、時間を分散して配当金を受け取りたい人にとっては特に魅力的な銘柄だと思います。
その一方で、人口が減少し、空き家の増加が社会問題になる中、日本における住宅業界の長期的な見通しは決して明るいものでは無いと思われます。
ただ、5年程度のスパンで考えれば、人口減少の影響よりも景気変動の影響の方が大きいと思いますので、過度に悲観的にならず、当社が今後どのように事業を展開していくのかに注目しながら見守っていきたいと思います。