与沢翼さんの新著『お金の真理』を読んでみて感じたことを簡単にまとめてみました。
著者について
著者の与沢翼さんは、かつては「ネオヒルズ族」「秒速で1億円稼ぐ男」などと呼ばれて、その派手な生活や言動が取り上げられて、一時は時代の寵児ともてはやされたこともありましたが、2014年に著者が経営する株式会社フリーエージェントスタイルホールディングスが破綻。その後シンガポールに移住、2016年にはドバイに移り、株式や仮想通貨、不動産などを対象に個人投資家として活躍し、純資産は70億円と言われています。
正直、与沢さんに対しては胡散臭いという印象しか持っていませんでしたが、成功と凋落、そしてそこから再起しての成功という経験はなかなか凡人ではできないことですので、一度先入観を取り除いて新著を手にしてみることにしました。
『お金の真理』について
著者が実際にどのような方なのかはわかりませんが、本書に書かれている内容はとても真っ当なものでした。ちなみに帯にある本人の写真も、以前のギラギラした印象と比べると随分精悍な顔つきのように感じます。
本書で言っている内容を僕なりに解釈してざっくり言うと、お金持ちになるためには、まずは欲望をコントロールして地道に努力し、貯めたお金を運用し、よく考えてすぐに行動することが大切だ、ということになると思います。
この記事は本書の内容を網羅することを目的としたものではなく、あくまで僕の主観で特に印象に残った言葉を引用しつつ、コメントをしていきます。
印象に残った言葉
他人からの評価を気にしすぎる人は弱くなる(P49)
本書の別のページには「評価というのは自分が知らないところでされていてこそ意味と価値があります」(P51)と書かれています。SNSではフォロアーや「いいね」の数を気にする人もいますが、人の評価を気にするあまり本来の自分を見失っては本末転倒など思いますので、肝に銘じておきたいとおもいます。
国や会社に助けを求めるのはナンセンス(P72)
本書では昨年「老後2000万円問題」が大炎上したことに触れ、「自分が努力できないことを誰かの責任にしたい、そういう他力本願な国民の気持ちが透けて見えるようでした。」指摘しています。
今回の新型コロナでも何かと政府に何とかしろという声が大きいですが、政府が何かをするということは、その財源は最終的には税金ということになるので、国民の間での金の奪い合いに過ぎないと感じています。
期待値の高すぎる人はすぐに破綻する(P138)
ネットや書籍ではFXや仮想通貨、株のデイトレードなどで簡単に儲けられるかのような宣伝で溢れています。そうした期待をして投資を始めると地道な努力ができず、どこかで無理をして破綻してしまうことになるでしょう。僕もかつてはそれに近い状況を経験したのでよくわかります。
失敗例が世に出回ることは少ない(P176)
世の中は成功した話ばかりが溢れています。起業して上場して巨額の富を得た話、株やFX、仮想通貨で大きな財産を築いた話など、それぞれの話は実話だったとしても、その陰にははるかに多くの失敗があることを意識しておく必要があるでしょう。
自分だけは成功できると考えるのであれば、自分が他人より優位な点は何か、成功するためにどれだけの努力をしたのか、など根拠をしっかり持っておく必要があると思います。
「アーリーアダプター」への普及を確認してから動くことが成功のポイント(P199)
本書で触れているイノベーター理論の5段階の普及の過程のうち、僕はおそらく「レイトマジョリティー(後期追随層)」あたりかなと思っています。でも、例えば仮想通貨で大きく稼いだような人は「アーリーアダプター(初期採用層)」あたりなのだろうと思います。
僕はどちらかというと流行に遅れて乗る方なので、あまり起業には向いていないのかもしれませんが、投資でも成長株への投資を考える上でもこうした視点が大切なのでしょう。
「小さいテスト」を繰り返せば直観力が伸びる(P268)
いくら情報を集めて勉強しても、実際に経験を積まないと直観力は身に付きません。投資においてもいくら投資本を読んだり、個人投資家のブログを読んでも、実際に少額でも売買してみないと感覚はわからないと思います。まずは小さく行動することが大切だと思います。
あなたを儲けさせるために近づいてきてくれる人などこの世に一人もいない(P299)
うまい儲け話はないということは昔から言われていることですが、欲に目が眩むと簡単に騙されてしまうことがあります。儲け話を囁かれたときは、それがなぜ儲かるのか、その人は儲け話を自分に紹介してどのようなメリットがあるのかを合理的に説明できるかよく考えてみる必要があります。
「富の源泉」に近いポジションを取れ(P332)
お金は社会を回っていくものですし、その過程で皆が少しずつメリットを享受してハッピーになる場合もあれば、誰かが大きく儲けて誰かがカモになっている場合もあります。
僕はこれまで「富の源泉」というものをあまり意識したことがありませんでしたが、事業で大きく成功する人が注目するポイントはそこにあるのかと感心しました。
むすび
ここで紹介した言葉以外にも、学ぶことは沢山あったと思います。著者に対する評価は様々ですが、類まれなる経験をされたことは事実ですし、大切なことは、この本から自分が得るものがあるかどうかということです。
僕はこれまで著者に対して偏見や先入観を持っていましたが、さらっと読んでみて「なるほど、結構いいこと書いてるな」というのが素直な感想です。
本書の中には起業でも投資でも役に立つ考え方はあると感じました。