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武田薬品工業(4502)の2020年3月期決算速報

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武田薬品工業4502)の20203月期決算が513日に発表されました。

 

損益の概要

20203月期は、売上収益が前期比+56.9%、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比▲67.3%と大幅な増収減益となりました。ただし昨年1月に行われたShire社買収の影響が大きいため、この前期との比較にはほとんど意味はありません。

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出典:当社決算短信

 

昨年5月の20193月期決算発表で示された20203月期の業績予想については四半期ごとに修正され、当初は大幅な赤字を予想していたのが、実績ではわずかですが黒字となりました。

20203月期業績予想の推移と実績】

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出典:当社四半期決算短信より管理者作成

 

売上収益の実質的な前期との比較については、投資家・アナリスト向けプレゼンテーション資料で説明されています。この図によれば、実質的な売上収益の成長は+1.6%となっています。

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出典:当社プレゼンテーション資料

 

また、財務ベースの営業利益はわずか1,004億円でしたが、旧Shire社にかかる日資金製の企業統合会計上の費用や買収関連費用などの特殊要因等を除いたCore営業利益は、9,622億円となっています。20193月期のCore Earnings(定義はCore 営業利益と同じ)が4,593億円でしたので、Shire社統合により大幅に増えています。

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出典:当社プレゼンテーション資料

 

 

 

 

 

20213月期業績予想

20213月期の業績予想は、売上高は当期比▲1.3%と減収を予想していますが、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比+35.6%と大幅な増益を予想していますが。また、Core営業利益は+2.3%を僅かですが増益を予想しています。

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出典:当社決算短信

 

このように見るとあまりぱっとしないように見えますが、営業収益については資産売却や為替影響によるマイナスやエンブレルのコ・プロモーション終了及び独占販売期間終了製品の影響によるマイナスを14グローバルブランドの伸びでカバーしています。

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出典:当社プレゼンテーション資料

 

また、Core営業利益については営業収益と同様に資産売却と為替のマイナス影響がある一方で、ビジネスモメンタムとコストシナジー、営業経費効率化でカバーすることで、増益を予想しています。財務ベース営業利益は、Core営業利益の増加分に加えて買収関連費用が減少し大幅な増益を予想しています。

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出典:当社プレゼンテーション資料

 

 

 

 

 

配当の状況

20203月期の年間配当は180円です。当初は赤字予想に対して180円の配当予想でしたが、結果的に黒字となったものの配当性向は633.6%と大幅なタコ足配当でした。また、20213月期も年間配当180円を予想しています。予想EPS38.52円なので、引き続き大幅なタコ足配当となる見込みです。

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出典:当社決算短信

 

当社はいつも「1株当たり年間配当金180円の確立された配当方針」と表現して、180円配当に強いコミットをしています。キャッシュフローは十分なので、タコ足配当を続けても問題ないのでしょう。

 

 

 

 

 

キャッシュフロー及び財務の状況

当社は前期に引き続きタコ足配当を続けていますが、営業CF6,698億円、投資CF2,921億円、フリーCF9,680億円であり、これに対して配当金の支払が2,826億円で、借入金の返済を、早期返済を含めて7,011億円行っています。

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出典:当社決算短信

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出典:当社プレゼンテーション資料

 

この結果、純有利子負債は50,979億円から42,340億円へ大きく減少し、調整後EBITDA倍率は4.7倍から3.8倍へ低下しています。

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出典:当社プレゼンテーション資料

 

このように、当社はノンコア資産の売却を進めながら、年間180円配当を維持しつつ、Shire社買収で大きく膨らんだ有利子負債を着実に削減していると言えます。

 

 

 

 

 

株価の状況

新型コロナの影響で一時3,000円を割り込みましたが、4,000円までは回復してきました。514日の終値4,028円、予想年間配当金は180円なので、配当利回り4.47%です。

新型コロナの業績への影響もなさそうですので、減配リスクはかなり低いと考えます。

【6カ月チャート】

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むすび

期初の業績予想では大幅な赤字でしたが当期利益は黒字で着地しました。財務会計上はタコ足配当ですが、費用のうち非資金性費用の占める割合が大きく、フリーキャッシュフローは大幅なプラスなので、配当の支払い能力には問題はないでしょう。さらに、借入金の早期返済を進めて、財務体質は改善しています。

当社のような製薬会社は、長期的に見れば薬価引き下げのリスクはありますが、新型コロナの影響で大きく業績が悪化することはないので、今は安心して保有できると思います。

銘柄選択のはじめの段階で配当性向を用いてスクリーニングをすると、タコ足配当が確定しているので、当社ははじめから除外されてしまうでしょう。でも、それはもったいないのではと思います。

 

なお、この記事はあくまで僕の個人的な見解を示したものなので、投資判断はくれぐれも自己責任でお願いします。